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メルカリが業界にイノベーションを起こした画期的なビジネスモデルとは?

メルカリが業界にイノベーションを起こした画期的なビジネスモデルとは?

こんにちは、マキシマイズの田中です。
今回はリユース市場にイノベーションを起こしたメルカリのビジネスモデルを、ビジネスモデル・ナビゲーター手法によるビジネスモデルの定義「ビジネスモデルの4軸」とビジネスモデル・パターンカードを使用して解説していきたいと思います。

メルカリは不要となった持ち物を販売したい人と、商品を購入したい人をマッチングするプラットホームで主にスマートフォンアプリとして提供されています。メルカリの2020年7月から2021年6月の国内流通総額は7,845億円(メルカリ発表)で2020年の国内EコマースCtoC市場1兆9,586億円(経済産業省発表)の40%を占め、2013年の創業から驚異的なスピードで成長しリユース業界の大手プレイヤーとなりました。

まずはメルカリが既存のリユース市場をどのように変革してきたのか、ビジネスモデルの4軸を使用して、従来のリサイクルショップとメルカリのビジネスモデルを分析していきたいと思います。

ビジネスモデルの4軸とは

ビジネスモデルの4軸は、ビジネスモデルをシンプルかつ抜けもれなく定義することで、ビジネスモデルの設計や検討を容易に行うために開発されました。

具体的には、顧客は誰でどんな困りごとを持っているかというWHOの軸、顧客へ提供する提供価値は何かというWHATの軸、どのような手段で価値を提供するのか差別化をするのかというHOWの軸、なぜ儲かるのかというWHYの軸の4軸でビジネスモデルを定義します。特にビジネスモデル4軸のうち2軸以上が変化したとき、ビジネスモデルの構造が変わったとみなし、ビジネスモデル・イノベーションと呼んでいます。ビジネスモデルの4軸は、新規事業の設計だけでなく、既存事業の分析、企画内容の精査などにも利用することができます。

従来のリサイクルショップのビジネスモデル

それでは、従来のリサイクルショップのビジネスモデルを4軸で分析します。

従来のリサイクルショップは常に商品を店頭に豊富に揃え、販売していく必要があるため不用品を売却したい顧客、購入したい顧客が来店しやすい好立地に店舗を構えること、また他の店舗と比較し競争力の高い価格で仕入れなるべく高値で販売をすることが収益の源泉のため、買取マニュアルを整備することが、他社との勝負を分ける重要な差別化要素と言えます。収益モデルでみると、高利益で商品を販売する一方で店舗の維持費や人件費、仕入れコストといった経費、また仕入れた在庫が売れないというリスクも抱えています。
一方で不用品を販売する利用者にとっては、不用品を持ち込むだけで良いという利便性はありますが、基本的に査定額の根拠は不明瞭で割安に感じる額が提示されることが一般的と言えます。

業界を変革したメルカリのビジネスモデルとは?

そこへ登場したのがメルカリです。

従来のリユースショップとメルカリのビジネスモデルモデルを4軸で表現し比較するとWho以外の3軸全てが変化しておりビジネスモデルのイノベーションが起きているという事がわかります。それではどういったビジネスモデルパターンを使用してビジネスモデルのイノベーションを起こしたのか順番に見ていきたいと思います。

個人間取引

まずメルカリは店舗を経由せず不用品を販売したい人と、商品を安く購入したい個人同士の取引を仲介するオンラインプラットホームを提供しています。自社で仕入れや販売は行わないため、店舗の運営や仕入れコスト不良在庫を抱えるリスクがなく、運営コストを圧縮でき、取引額の10%を手数料として徴収するだけで充分な利益を稼ぎ出すことができます。また利用者にとっては自分が納得できる金額で販売することができ、一般的にリサイクルショップの買い取り額より高く値付けすることができ、購入者する側もリサイクルショップで購入する場合も割安で購入することができます。

ソリューションプロバイダー

またメルカリでは個人間取引に必要なすべてをトータルで提供するソリューションプロバイダーのビジネスモデルを採用しています。個人同士のマッチングに加え、メルカリが一旦料金を預かり商品到着後に支払いが実行されるというエスクローサービスを導入することで個人間の売買の安全性を担保しています。また利用者同士を相互に評価することでも信用を担保しトラブルが発生しにくい仕組みも構築しています。さらにマッチング後の商品発送時も物流企業やコンビニエンスストアと連携しQRコードで簡単に商品を発送できるように環境を整えています。

体験の販売

そしてメルカリはアプリケーションのインターフェースにもこだわり、中古品の売買にエンターテイメント性を持たせています。ショップでの売買のように単に商品の売買をするという価値だけでなく、だれでも気軽に指先一つで簡単に楽しく出品や買いものができるというユーザー体験を提供し、身の回りの品物を売買するという新たな文化を普及させ市場を拡大させてきました。

このように既存のリユース市場を確信したメルカリですが、マッチングプラットホームのビジネス自体の参入障壁は決して高いものではないため、売り手と買い手、双方のアクティブユーザーをどれだけ囲い込みできるのかにかかっています。現在メルカリは業界パイオニアとして先行者利益と発送方法の利便性向上といったサービスの向上、CMなどの集客施策によって囲い込みに成功していると言えそうです。


今回はメルカリと既存のリサイクルショップをビジネスモデルの4軸とビジネスモデルパターンを使用して比較、分析をしました。4軸でビジネスモデルを分解する事でビジネスモデルの強みは何か、何が勝負を分けるのかといった点も明らかにすることができます。
今後もビジネスモデル・ナビゲーターの事例やセミナーの情報などご紹介させていただきます。

田中 陽介(たなか ようすけ)

株式会社マキシマイズ コンサルタント

株式会社マキシマイズにて、国内大手企業向けに海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を支援。新規事業立ち上げ、事業開発に強みを持つ。広告代理店、中国向け電子コミック配信事業、プロ野球独立リーグ球団運営を経て現職。「イノベーションの攻略書」共訳。立教大学法学部卒業。

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