株式会社マキシマイズのWebサイトはこちら ▶︎

公式ビジネスモデルナビゲーター

イノベーションビジネスモデルナビゲーター

コラム:ポストコロナ時代の「ビジネスモデル適応力」後編

コラム:ポストコロナ時代の「ビジネスモデル適応力」後編

本稿では、前編に続きポストコロナ時代の「変化に強い会社をつくる」という観点から、「ビジネスモデル・イノベーション」を進める上での参考としていただくため、欧州企業各社で採用されるビジネスモデル・イノベーション手法である、「ビジネスモデル・ナビゲーター」と、ビジネスモデル・イノベーションの事例、ビジスモデル転換の手順をご紹介させて頂きたいと思います。

【後編 トピックス】
・ビジネスモデル・イノベーションの事例
・ポストコロナ時代のビジネスモデル転換


【前編 トピックス】
・新型コロナ感染症が事業に与える4種の変化
・ビジネスモデル・ナビゲーターの概要

ビジネスモデル・イノベーションの事例

前編ではビジネスモデル・ナビゲーターの概要をご紹介しました。ここでは、実際のビジネスモデル・イノベーションのイメージをつかんで頂くために、事例を二つご紹介します。

1)ネットフリックス:米国動画配信大手のネットフリックスは、DVDレンタルをオンライン化することでビジネスモデル・イノベーションを実現しました。無店舗無人対応にすることで圧倒的にコストを抑え、わざわざ店舗に行かなくても月額の定額料金で動画を見られるという利便性を顧客に提供しています。コンテンツ保有者との間でコンテンツ配信に関する著作権上の問題を事前にすべて解決した点がビジネスモデル上の特長です。また、全世界の顧客の検索、視聴、操作データを統計分析し、新コンテンツの企画に反映しています。

2)TICK:スイスの大手小売りMigrosグループのプライベートブランド洗剤メーカーが開始した洗濯サービス事業TICKは、「モノからコトへ」のビジネスモデル転換の面白い事例です。都会の比較的裕福な共働き層の「お金で時間を買いたい」というニーズにこたえるため、香りや仕上げを選べる高品質な洗濯とドライクリーニングをサービス提供しています。スマートフォンで予約可能な集荷配達は地域のタクシー業者との協業で実現しています。

ポストコロナ時代のビジネスモデル転換

最後に、ビジネスモデル・ナビゲーター手法を利用して、ポストコロナ時代に向けたビジネスモデルの転換を行う手順を、以下に解説したいと思います。

1)ビジネスモデル4軸による既存事業の分析
自社の現状のビジネスモデルをWHO、WHAT、HOW、WHYの4軸で整理します。

2)新型コロナウィルス感染拡大による外部環境への影響分析
新型コロナウィルス感染拡大に伴う中長期的な外部環境への影響を分析します。外部環境分析については、PESTLE分析、バリューチェーン分析など、いろいろな方法がありますが、ここでは分析の軸として、①顧客ニーズの変化、②少子高齢化など人口構成トレンド、グローバル化など社会トレンド、その他の新たなトレンドの出現、③新技術トレンドの出現、④自社の強みと弱みの変化、⑤既存の競合と新規の事業参入者の5つの軸をご紹介します。

3)将来シナリオの分析
①悲観シナリオの分析:既存事業の潜在的な問題点を発見するために、将来時点における既存事業の事業破綻をシミュレーションします。そのうえで、既存事業の4軸のどの部分が機能しなくなったのかを確認します。

②成功シナリオの分析:新たな事業機会を発見するために、今度は将来時点における新事業成功をシミュレーションします。そのうえで、今後の新たな事業機会をリストアップしてください。

4)未来に向けたビジネスモデル4軸の見直し
55種類のパターン・カードを使って、自社の新たなビジネスモデルを創造するためのアイデア創出を行います。アイデア創出の際には、自社の既存のビジネスモデルにおいて機能しなくなる点と、今後有望な事業機会を踏まえて新事業のアイデアを考え、適切なアイデアを評価選定します。選択したアイデアをもとに、新たなビジネスモデルの4軸を作成します。

5)事業検証と事業立ち上げ
新たなビジネスモデルの有効性を確認するための事業検証を進め、ビジネスモデルの修正を進めつつ、事業立ち上げを実施します。

今回はポストコロナ時代の「変化に強い会社をつくる」という観点から、「ビジネスモデル・イノベーション」を進める上での参考にして頂くことを目的に「ビジネスモデル・ナビゲーター」手法の概要と事例、そして手順をご紹介させて頂きました。ビジネスモデル・ナビゲーターに関する詳細については、筆者が翻訳した書籍版「ビジネスモデル・ナビゲーター(翔泳社)」、あるいはビジネスモデル・ナビゲーター紹介ウェブサイトをご参照ください。パターン・カードは市販しており、手法を使いこなすためのワークショップや説明会も随時実施しております。

新型コロナウィルス感染拡大による事業環境の激変を新たなチャンスとしてとらえ、環境変化に対する「ビジネスモデル適応力」を身に着けることで、是非とも今後の事業の成功に結び付けて頂ければと思います。

ビジネスモデル・ナビゲーターの概要を解説するウェビナーを開催しています。

【オンライン・無料】欧州大企業の採用するプロセスベースのビジネスモデル創出手法(9月24日開催)


今回はメルカリと既存のリサイクルショップをビジネスモデルの4軸とビジネスモデルパターンを使用して比較、分析をしました。4軸でビジネスモデルを分解する事でビジネスモデルの強みは何か、何が勝負を分けるのかといった点も明らかにすることができます。
今後もビジネスモデル・ナビゲーターの事例やセミナーの情報などご紹介させていただきます。

田中 陽介(たなか ようすけ)

株式会社マキシマイズ コンサルタント

株式会社マキシマイズにて、国内大手企業向けに海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を支援。新規事業立ち上げ、事業開発に強みを持つ。広告代理店、中国向け電子コミック配信事業、プロ野球独立リーグ球団運営を経て現職。「イノベーションの攻略書」共訳。立教大学法学部卒業。

11月22日(金)17時から18時
【イノベーション人材育成】
欧州大企業の採用するプロセスベースの
ビジネス創出手法のご紹介

11月28日(木)17時から18時
【GX人材育成】
~サーキュラー・エコノミーにおける
ビジネスモデル創造手法のご紹介~

11月22日(金)17時から18時
【イノベーション人材育成】
欧州大企業の採用するプロセスベースの
ビジネス創出手法のご紹介

11月28日(木)17時から18時
【GX人材育成】
~サーキュラー・エコノミーにおける
ビジネスモデル創造手法のご紹介~