株式会社マキシマイズのWebサイトはこちら ▶︎

公式ビジネスモデルナビゲーター

イノベーション

BABLEはいかにしてスマートシティ向け新規ソリューション開発の仕組みを再構築しているのか(“How Bable Is Reinventing How Smart Cities Develop New Solutions”)

BABLEはいかにしてスマートシティ向け新規ソリューション開発の仕組みを再構築しているのか(“How Bable Is Reinventing How Smart Cities Develop New Solutions”)

みなさんこんにちは。マキシマイズの渡邊です。今回も、既存事業を持つ大企業がシリコンバレーのスタートアップに負けない画期的な新規事業を創造するために、インダストリー4.0の一環としてスイスで開発された手法である『ビジネスモデル・ナビゲーター』開発元Seconds"社(旧BMI Lab社)のブログを皆さんにご紹介します(※BMIとはBusiness Model Innovation:ビジネスモデル・イノベーションの略です)。

今回のブログは「BABLEはいかにしてスマートシティ向け新規ソリューション開発の仕組みを再構築しているのか("How Bable Is Reinventing How Smart Cities Develop New Solutions")」という、スマートシティ支援企業が、コンサルティング中心の事業モデルから、AIを活用したスケーラブルなプラットフォーム型ビジネスへ転換していくプロセスについてのお話です。では本文をお楽しみください。

2025年11月10日
BABLEはいかにしてスマートシティ向け新規ソリューション開発の仕組みを再構築しているのか
(Seconds"社ウェブサイト"のブログ記事を、同社の許可を得て翻訳、掲載しています)

BABLE Smart Citiesは、さらなる成長の加速を目指していた。しかし、その事業は依然として個別のコンサルティング・プロジェクト収入に大きく依存していた。そこで当社は、現行ビジネスモデルの整理、チームとのプラットフォーム構想の創出、そして新サービスの優先順位付けという、3段階構成のプログラムを通じた支援を実施した。その結果、現在のBABLE Smart Citiesは、明確なプラットフォーム戦略ロードマップを有し、AIを活用した大規模な知識提供を実現するに至っている。

BABLE Smart Citiesは、フラウンホーファー研究所のスピンオフ企業として2017年に設立され、ドイツに本社を置いている。同社は、専門知識の集約や、自治体の意思決定者と民間のソリューションプロバイダーとの連携支援を通じて、都市をよりスマートで、持続可能かつ住みやすいものにすることを目指している。

現在、BABLE Smart Citiesは60名を超える従業員を擁し、30カ国以上でパートナーシップおよびプロジェクトを展開している。同社の長期的ビジョンは、官民の多様な主体がアイデアを共有し、解決策を見出し、市民の生活の質を向上させる新たなサービスを共創できるプラットフォームを構築することである。

課題

2021年末までに、BABLE Smart Citiesは、欧州のスマートシティ・エコシステムにおける有力な推進役としての地位を確立していた。着実に成長を続けるオンラインプラットフォームが、同社の活動を支えていた。しかしその一方で、価値創出の多くは、ユーザー数や利用拡大に応じて収益が伸びるスケーラブルなサービスモデルではなく、依然として個別のコンサルティング・プロジェクトに大きく依存していた。

同社の経営陣は、重要な制約要因を認識していた。すなわち、同事業の狙いや柔軟性を損なうことなく、影響力と事業規模を拡大していくためには、自社サービスのどの部分を標準化し、セルフサービス型として提供可能なのかを明確にする必要があった。さらに、事業拡大に伴い、収益モデルをどのように進化させるべきか、データをいかに有効活用するか、そしてユーザーにとってシンプルで使いやすいサービスをどのように維持していくかについても、明確な方向性を定める必要があった。

当社チームのアプローチ

BABLE Smart Citiesに対し、当社は2021年11月から2022年1月にかけて、ビジネスモデル・ナビゲーターの手法に基づく体系化された支援プログラムを提供した。本プロジェクトは、2回の対面ワークショップを中核としながら、事前準備や継続的な伴走支援も組み合わせる形で推進された。

・現状の把握

当社は、BABLE Smart Citiesの中核チームと連携し、顧客セグメント、価値提案、収益構造、そして顧客接点全体にわたるカスタマージャーニーといった構成要素に分解することで、現行ビジネスモデルの全体像を整理した。さらに、顧客のペルソナやその主要な課題・ニーズを掘り下げるとともに、BABLE Smart Citiesを取り巻くエコシステム全体を分析し、事業上の制約要因と成長機会を明らかにした。これらの分析を踏まえ、サービスの技術的スケーラビリティ、顧客によるセルフサービス化、データの収益化など、今後重点的に検討すべき機会領域を整理し、それらに基づく優先順位付きの調査計画を策定した。

・拡張チームによるアイデア創出

BABLE Smart Citiesのコアチームに加え、組織全体から約30名が参加する形で、当社はビジネスモデル・ナビゲーター手法に基づく体系的なアイデア創出セッションを実施した。本セッションでは、まず重点的に取り組むべき事業機会領域を特定したうえで、55種類以上のビジネスモデル・イノベーション・パターンを適用し、新たな収益機会につながるビジネスアイデアを創出した。その後、各チームは創出されたアイデアを評価・優先順位付けし、「Platform Value Canvas」を活用して、明確な顧客ニーズに基づく具体的なサービス構想へと発展させた。これらのサービスは、実際のユーザーニーズを重視するとともに、スケーラブルな提供体制を前提として、高品質かつ継続的に提供可能となるよう設計された。

・サービスの評価と優先順位付け

新たに創出されたアイデアをもとに、当社は有望なサービス案を評価し、体系的な事業開発に向けた優先順位付けを実施した。その成果として、高付加価値サービスを段階的に構築していくための明確なプラットフォーム・ロードマップを策定するとともに、将来的なビジネスモデル進化に向けた基盤を整備した。

・AIを変革の基盤技術として活用

BABLE Smart Citiesの変革を支える最も重要な基盤技術の一つとなったのが、サービス全体へのAIの統合であった。AIをナレッジベースへ組み込むことで、同社は蓄積してきた専門知識を、より容易にアクセス可能で、より実務に活用しやすく、さらに迅速に利用できる形へと進化させることができた。

成果

BABLE Smart Citiesは、個別のコンサルティング・プロジェクトに依存しない形で事業を拡張可能とする、優先順位付けされたサービス群を含むプラットフォーム・ロードマップを構築することができた。また、どの領域を個別対応として維持し、どの領域を標準化・セルフサービス化・データ活用型サービスへ移行するのかについて、組織内で明確な共通認識を形成するに至った。さらに、AIの早期統合によって、ユーザーが必要な知見やガイダンスへより迅速にアクセスできる環境を実現するとともに、より軽量かつ再現性の高いサービス提供体制の構築も進めている。

この変革により、BABLE Smart Citiesは、個別プロジェクトを支援する存在から、コミュニティと共に成長可能なビジネスモデルを通じて、エコシステム全体を支援する存在へと進化しつつある。

主な学びと今後のステップ

・まずは現状ビジネスと事業環境の可視化から

プラットフォーム変革は、まず現行ビジネスモデルと、それを取り巻く事業環境を正確に可視化し、どの領域を標準化すべきかを慎重に見極めることから始まる。この基盤を構築することで、体系的かつ持続的なスケーリングが可能となる。

・ビジネスモデル・パターンを活用した発想法により、従来の思考の枠組みからの脱却を実現する

ビジネスモデル・パターンを活用することで、チームは多様な事業機会領域における実現可能な選択肢を幅広く検討できるようになり、従来の発想や既存の業務の進め方を超えた新たな可能性を探索することが可能となった。

・体系化によって、専門知識を再現可能な事業資産へと転換できる
BABLE Smart Citiesの競争優位性の源泉は、長年にわたり蓄積してきた専門知識にある。プラットフォーム設計とAI統合を通じて、その知識を誰もがアクセスしやすく、実務で活用可能な形へと転換することで、スケーラブルな事業資産として活用できるようになる。

・明確なサービスデザインとの融合により、AIによる成果創出が飛躍的に加速される
BABLE Smart Citiesにおいて、ナレッジベースへのAI統合が効果的に機能している背景には、体系的なサービスデザインと、実際のユーザーニーズを重視した設計思想がある。テクノロジーは変革を加速させる要素ではあるが、最終的な成果を左右するのは、明確な目的意識と優れたサービスデザインである。


いかがでしたでしょうか。弊社では、ビジネスモデル・ナビゲーターを日本企業にも普及させるべく、ワークショップやプロジェクト支援など様々な支援サービスを提供しておりますご興味の方は是非お問い合わせください

渡邊 哲(わたなべ さとる)

株式会社マキシマイズ シニアパートナー

Japan Society of Norithern California日本事務所代表

早稲田大学 非常勤講師

東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業や団体との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。ビジネスモデル・ナビゲーター手法の啓蒙活動をはじめ、日本のイノベーションを促進するための各種事業を展開中。
「アントレプレナーの教科書」「ビジネスモデル・ナビゲーター」「イノベーションの攻略書」「DXナビゲーター」「イノベーション・アカウンティング」を共訳/監訳。

7月28日(月)17時〜18時
【オンライン・無料】
~サーキュラー・エコノミーにおけるビジネスモデルを創造する~
「サーキュラーエコノミー・ナビゲーター」紹介セミナー

7月28日(月)17時〜18時
【オンライン・無料】
~サーキュラー・エコノミーにおけるビジネスモデルを創造する~
「サーキュラーエコノミー・ナビゲーター」紹介セミナー