新興国における新技術とビジネスモデルイノベーション:バングラデシュでの経験より("New Technologies and Business Model Innovation in emerging markets: Our experience in Bangladesh.")

イノベーション, ビジネスモデル・新規事業創出

みなさんこんにちは。マキシマイズの渡邊です。今回も、既存事業を持つ大企業がシリコンバレーのスタートアップに負けない画期的な新規事業を創造するために、インダストリー4.0の一環としてスイスで開発された手法である『ビジネスモデル・ナビゲーター』開発元BMILab社のブログを皆さんにご紹介します(※BMIとはBusiness Model Innovation:ビジネスモデル・イノベーションの略です)。

今回のブログは「新興国における新技術とビジネスモデルイノベーション:バングラデシュでの経験より("New Technologies and Business Model Innovation in emerging markets: Our experience in Bangladesh.")」という、新興国でのイノベーションについてのお話しです。古い技術から途中をとばして最先端技術をいきなり導入する「リープフロッグ」や最先端の製品やサービスを新興国で先に広めて先進国に逆上陸させる「リバースイノベーション」など、新興国におけるイノベーションは注目を集めています。では本文をお楽しみください。

新興国における新技術とビジネスモデルイノベーション:バングラデシュでの経験より("New Technologies and Business Model Innovation in emerging markets:Our experience in Bangladesh.")

2017年11月20日
新興国における新技術とビジネスモデルイノベーション:バングラデシュでの経験より(BMI
Lab社ウェブサイト
のブログ記事を、同社の許可を得て翻訳、掲載しています)

10月初旬、BMILabのコンサルタントであるピーターは、バングラデシュ科学産業研究評議会(BCSIR)内の機関である技術移転イノベーションセンターの招待を受けて、バングラデシュのダッカでビジネスモデル・イノベーションに関する基調講演を実施した。以下のインタビュー記事は、バングラデシュ企業との協力の体験と、ビジネスモデル・イノベーションと新たなテクノロジーとの関係についての、ピーターに対するインタビューの抜粋である。


Q.どんなきっかけでバングラデシュに関わるようになったのでしょうか?

A.昨年ザンクトガレンで開催されたBMIワークショップに、バングラデシュ科学産業研究評議会の代表団が参加されました。ワークショップに参加した代表団の皆さんは、BMIの手法を同評議会の技術移転イノベーションセンターで活用し、センターで導入した技術をバングラデシュの企業各社に提供することに非常に興味を持ちました。今回、ビジネスモデル・イノベーションおよび、ビジネスモデル・イノベーションを新たなテクノロジーと組み合わせて使用することでバングラデシュ企業に競争優位性をもたらす可能性についての講演をしてほしいとのことで、私はダッカに招待されました。また、今回の講演では、気候変動や伝統的な漁業での漁獲量の減少により、バングラデシュにおいて興味が高まっている新たな養殖技術を具体例として企業各社に解説を行いました。

イノベーションと新たなテクノロジーに関する基調講演における参加者の様子


Q.ビジネスモデル・イノベーションと新たなテクノロジーにはどのような関係があるのでしょうか?

A.自社が取り組むべき新たなテクノロジーに遭遇した企業は、そのテクノロジーが自社の提供する製品やサービスに与える影響をよく考えてみるべきです。そして、製品やサービスの提供方法や販売方法に変化がおきる可能性がある場合には常に、ビジネスモデル・イノベーションを適用すべきです。ワークショップに参加した養殖漁業の事業者やバングラデシュの企業各社の場合には、新たなビジネスモデルを考えることの重要性は明白でした。参加企業のほとんどは繊維産業か関連業界の出身で、養殖漁業の経験がありませんでした。このような場合には、BMIパターンカードを活用して革新的なビジネスモデルの可能性を探ることが、非常に有益であると言えます。


Q.新たなテクノロジーを扱う際に、どのようことが問題になりますか?

A.私たちのクライアントで最もよく目にするのは、新テクノロジーの技術仕様にばかり集中して、顧客にとって魅力的なビジネスモデルを構築することを忘れていることです。
その結果、技術的に優れた製品やサービスを生み出しても、顧客の根本的なニーズを満たしていない、ということがよくあります。だからこそ、顧客のフィードバックをできるだけ迅速に製品開発やサービス開発に取り入れ、反復的にさらなる開発を行うことが非常に重要なのです。


Q.バングラデシュでの経験から、どんな学びを得ましたか?

A.ワークショップにおける起業家精神と、新しいことや新しいモデルを試してみることに対する意欲の高さに非常に感銘を受けました。このような取り組み姿勢は、ヨーロッパの多くの企業よりもはるかに実践的と言えます。事業機会が生じたときに、それに取り組むための官僚的なハードルが低いのです。その結果、ビジネスモデルの革新をより簡単に実行できるようになります。

参加者からは、イノベーションと新たなテクノロジーとの関係性についての多くの質問がなされた。


Q.ありがとうございました。他に何か補足等ありましたらお願いします。

A.どういたしまして!今回のワークショップで、ザンクトガレン大学の教授陣が見出した各種ビジネスモデルが、ヨーロッパや米国だけでなく世界規模で機能することを再確認できたと思っています。


いかがでしたでしょうか。弊社では、ビジネスモデル・ナビゲーターを日本企業にも普及させるべく、ワークショップやプロジェクト支援など様々な支援サービスを提供しております。ご興味の方は是非お問い合わせください。
次回は、「中国が最強のイノベーションシステムを生み出す方法とは("How China Creates the Strongest
Innovation System")」という、中国におけるイノベーションに関するブログ記事をご紹介予定です。

WRITER

株式会社マキシマイズ代表取締役
渡邊 哲(わたなべ さとる)
株式会社マキシマイズ シニアパートナー
Japan Society of Norithern California日本事務所代表
早稲田大学 非常勤講師

東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業や団体との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。ビジネスモデル・ナビゲーター手法の啓蒙活動をはじめ、日本のイノベーションを促進するための各種事業を展開中。
「アントレプレナーの教科書」「ビジネスモデル・ナビゲーター」「イノベーションの攻略書」「DXナビゲーター」「イノベーション・アカウンティング」を共訳/監訳。

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