BMIパターンカードの上手な使い方("How to properly use the BMI pattern cards")

ビジネスモデル・新規事業創出

みなさんこんにちは。マキシマイズの渡邊です。今回も、既存事業を持つ大企業がシリコンバレーのスタートアップに負けない画期的な新規事業を創造するために、インダストリー4.0の一環としてスイスで開発された手法である『ビジネスモデル・ナビゲーター』開発元BMI Lab社のブログを皆さんにご紹介します(※BMIとはBusiness Model Innovation:ビジネスモデル・イノベーションの略です)。

今回のブログは「BMIパターンカードの上手な使い方("How to properly use the BMI pattern cards")」についてのお話しです。新規事業創造プロジェクトでBMIパターンカードを活用する際にコツはないですか、と日本においても顧客企業からよく質問を頂きます。では、本文をお楽しみください。

BMIパターンカードの上手な使い方("How to properly use the BMI pattern cards")

2018年1月3日
BMIパターンカードの上手な使い方(BMI Lab社ウェブサイトのブログ記事を、同社の許可を得て翻訳、掲載しています)

我々のチームには日常的に、BMIパターンカードの使用方法についての質問が多数寄せられる。間違った使い方をすると、ワークショップから最大限の結果を引き出せないのではないかと、大いに心配されているケースが多い。基本的に、BMIパターンカードによるアイデア創造はブレインストーミングの一種である。したがって、以下のような一般的なブレインストーミングのルールを適用できる。

イノベーション人材の育成とは、特定分野のスキルを教えるだけでの話ではない。それははるかに複雑な話なのだ。高パフォーマンスのイノベーションチームを作ろうとすると、おそらくマネージャーは文化的な課題にも直面するだろう。ただしあきらめるのはまだ早い。成果を上げるためには中期的な取り組みが必要だが、このような文化的な課題を克服するための戦略がいくつかある。

  1. 質より量を重視。アイデアは多ければ多いほど良い。
  2. 発想は大きく。自分を束縛しないことが肝要。大きな問題を解決するための大きなアイデアを生み出すべし。
  3. どんなアイデアも許容される。一見ばかげているように見えるものも含め、あらゆるアイデアを書き出す。最高のインスピレーションがどこから生まれるかは、誰にもわからない。
  4. アイデアについて議論しない。意見には相違があって当然であり、他のワークショップ参加者が生み出したアイデアの良し悪しを議論しない。ブレーンストーミングはアイデア創造の場であり、議論の場ではない。
  5. アイデアをすぐに書き留める。記憶に頼るとすぐに忘れてしまい、せっかくのアイデアを記録に残せないことになる。思いついたことをすべて書き留めるのが肝要。

さらに、ワークショップでBMIパターンカードを使用する場合には、以下のアドバイスも考慮してほしい。


クリエイティブな環境で実施する

日常業務で忙しいと、オフィスの会議室でブレーンストーミングのセッションを実施したくなるものだ。しかし、その誘惑を断ち切るべきである! 日々働く業務スペースでは、固定概念を脱却するのが難しくなる。そうでなく、オフィスから出て発想を開放すべきだ。例)カンファレンス用の素敵なホテルやコワーキング・スペース、3Dプリンタのあるメーカー・スペースなどが良い。


アイデア創造チームは少人数で構成する

最悪1人が抜けても続けられるようにチームの最小構成は3人とする。5人を超えるとチーム内で複数の会話が同時に起きやすいため、チーム構成は最大5名以内とする。一般的には1チーム4人が理想的と言える。


1枚のカードから複数のアイデアを創造する

1つのBMIパターンカードに対して1つの新アイデアを生み出すのは比較的簡単な話だ。しかし、たいていの場合に最初に出たアイデアは、当たり前のものになりがちだ。ワークショップでは通常、1枚のカードに対して少なくとも5つのアイデアを生み出すよう、我々は参加者に求めている。また、要らぬ議論に陥るのを防ぐため、制限時間を短く切って時間的なプレッシャーも利用する。各チームが5分間で少なくとも5つの新しいアイデアを創造し、そのうえで次のカードに進むことを目標とすること。


アイデアの初期選定を即座に実施する

ブレーンストーミングのセッションでは、各アイデアを1枚の付箋に書き留めるのが最も効果的である。アイデア創造の後で、アイデアを比較し、組み合わせ、評価する際に実施しやすいからだ。アイデアの評価選定は、アイデア創造の後で短い休憩を取り、すべてのアイデアがまだ新鮮なうちに、すぐに実行するべきだ。


いかがでしたでしょうか。弊社では、ビジネスモデル・ナビゲーターを日本企業にも普及させるべく、ワークショップやプロジェクト支援など様々な支援サービスを提供しております。ご興味の方は是非お問い合わせください。
次回は、『製品を起点としたビジネスモデルイノベーション:TICK、スイスのミグロス社が提供するオンデマンド洗濯サービス("From product to business model innovation: TICK, the laundry on demand service from Migros.")』というビジネスモデル・パターンを活用して既存製品をもとにした新規事業の立ち上げに成功したスイスの大手流通グループミグロス社の成功事例に関するブログ記事をご紹介予定です。

WRITER

株式会社マキシマイズ代表取締役
渡邊 哲(わたなべ さとる)
株式会社マキシマイズ シニアパートナー
Japan Society of Norithern California日本事務所代表
早稲田大学 非常勤講師

東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業や団体との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。ビジネスモデル・ナビゲーター手法の啓蒙活動をはじめ、日本のイノベーションを促進するための各種事業を展開中。
「アントレプレナーの教科書」「ビジネスモデル・ナビゲーター」「イノベーションの攻略書」「DXナビゲーター」「イノベーション・アカウンティング」を共訳/監訳。

関連記事一覧

資料ダウンロード 資料ダウンロード