みなさんこんにちは。マキシマイズの渡邊です。今回も、既存事業を持つ大企業がシリコンバレーのスタートアップに負けない画期的な新規事業を創造するために、インダストリー4.0の一環としてスイスで開発された手法である『ビジネスモデル・ナビゲーター』開発元BMI Lab社のブログを皆さんにご紹介します(※BMIとはBusiness Model Innovation:ビジネスモデル・イノベーションの略です)。
今回のブログは「55種類のビジネスモデル・パターンカード:ソリューションプロバイダー("BMI's 55 Pattern Cards: Solution Provider")」についてのお話しです。世の中のすべてのビジネスモデルを55種類に類型化したパターンカードをもとに新たなビジネスアイデアを創造するアイデア創造法は、ビジネスモデル・ナビゲーター手法の大きな特徴の一つです。今回は55種類の中から、何等かの原因で普及が進んでいない製品やサービスの急激な普及を促す際によく利用されるパターンである、ソリューションプロバイダーに関するブログをご紹介します。ソリューションプロバイダーのビジネスモデルでは、ある製品やサービスを利用するときに顧客に発生する困りごとや面倒なこと(法規制、契約、付随作業など手間のかかる事や難しい事、等々)を製品やサービスの提供側であらかじめ解決してトータルパッケージとして提供する点が大きな特徴です。では本文をお楽しみください。
55種類のビジネスモデル・パターンカード:ソリューションプロバイダー("BMI's 55 Pattern Cards: Solution Provider")
2017年7月28日
55種類のビジネスモデル・パターンカード:ソリューションプロバイダー(BMI Lab社ウェブサイトのブログ記事を、同社の許可を得て翻訳、掲載しています)
パターンの説明
フルサービスのソリューション・プロバイダーは、特定ドメインを総合的にカバーする製品やサービスを一社で提供する。付随サービスを製品に追加することで、顧客からの売上を一社で享受できるのだ。 さらに、顧客との関係が緊密になるため、顧客の習慣やニーズについての優れた知見が得られる。こうして得た深い知識を、製品やサービスの改善に役立てることも可能である。このパターンを使った有名な事例に、ハードウェア、ソフトウェア、コンテンツを統合したApple社iTunesのビジネスモデルがある。
トリビア情報
実は気づいていないだけで、あなたの会社もソリューションプロバイダーのビジネスモデルを活用しているかもしれない。1886年に祖業を開始し、現代的な会社という意味では1951年に設立されたLantal Textiles AG社は、全世界の航空機、電車、バス、そしてエグゼクティブ用インテリア市場向けに、布地や周辺サービスを設計、生産、販売している。同社が長年にわたって事業を継続できている理由の1つは、1954年に航空市場に参入した際にソリューション・プロバイダーのビジネスモデルを採用したことである。
活用例
CEMEX社はグローバルな建築資材会社であり、世界中の顧客と地域社会に高品質の製品と安定したサービスを提供している。同社は、1906年にメキシコで設立された老舗企業である。低価格住宅の分野に参入したいと考えた同社は、BMI Lab社の支援を受け、ソリューション・プロバイダーの事業計画を考案した。具体的には、住宅建設に必要な資材だけでなく、必要とされる専門知識や資金サポートも提供することにしたのだ。最終的にソリューション・プロバイダーのビジネスモデルによって、低所得世帯向けの低価格住宅をわずか10,000ドルで提供可能となった。同社では現在、全世界の発展途上国で数十の建設プロジェクトを進めている。
【参考文献】
ソリューションプロバイダーのビジネスモデル活用の別の例として、B2B事業に長く携わってきた老舗企業がB2Cのソリューション・プロバイダーのビジネスモデルを考案し、新たな収益化の可能性を開拓した例を紹介している、こちらのブログも参照してほしい。
いかがでしたでしょうか。弊社では、ビジネスモデル・ナビゲーターを日本企業にも普及させるべく、ワークショップやプロジェクト支援など様々な支援サービスを提供しております。ご興味の方は是非お問い合わせください。
次回は、「イノベーションの力を解き放つ:イノベーションとは何か("Unleashing the power of innovation: What is innovation")」という、イノベーションの定義や特徴に関するブログ記事をご紹介予定です。