デジタルトランスフォーメーションにおける
ビジネスモデル・イノベーション
(“BMI and digital transformation”)

イノベーション

みなさんこんにちは。マキシマイズの渡邊です。
今回も、既存事業を持つ大企業がシリコンバレーのスタートアップに負けない画期的な新規事業を創造するために、インダストリー4.0の一環としてスイスで開発された手法である『ビジネスモデル・ナビゲーター』開発元BMI Lab社のブログを皆さんにご紹介します(※BMIとはBusiness Model Innovation:ビジネスモデル・イノベーションの略です)。

今回のブログは『デジタルトランスフォーメーションにおけるビジネスモデル・イノベーション(”BMI and digital transformation”)』というデジタルトランスフォーメーションにおいて新たなビジネスモデルでイノベーションを実現することについてのお話しです。では本文をお楽しみください。

デジタルトランスフォーメーションにおけるビジネスモデル・イノベーション(”BMI and digital transformation”)

2017年5月8日
デジタルトランスフォーメーションにおけるビジネスモデル・イノベーション(BMI Lab社ウェブサイトのブログ記事を、同社の許可を得て翻訳、掲載しています)

既存の企業すべてにとってデジタル化は大きな課題です。 デジタル化は急速に進展し、急激な変化を引き起こすため、それまで成功していたビジネスにとって不意打ちとなる可能性があります。昔ながらの大企業が何世代にもわたって慎重に育成してきた市場において、より小規模かつ合理化されたデジタルファーストのスタートアップ企業は強靭な競合となります。 一夜にして、自分たちが築き上げてきたものを失ったように感じるかもしれません。

縄張り争い
ブリタニカ百科事典はその典型例といえます。1768年以来出版を続けてきたブリタニカは、事実の守護者であり王者として君臨していました。 世界中で尊敬を集め、学習と知識の信頼できる情報源でした。 ブリタニカのB2Bのトップダウン型ビジネスモデルは、何世紀にもわたってうまく機能してきました。

ところがインターネットの登場によって、情報アクセスにおける階層構造が解消され、企業と顧客が対等に近づきました。 すると、ほんの数年のうちにブリタニカの収益と市場シェアは縮小しました。 そして、世界中の何億人もの人々が百科事典の代わりにウィキペディアを代わりに利用するようになりました。ウィキペディアは無料でオープンソースで簡単にアクセスできるからです。

変化を否定するのでなく、行動を起こしましょう
BMILabのマネージングディレクターであるピーター・ブルッガー氏は次のように言っています。「こうした変化は実際に起こるということを認識することが不可欠です。新規参入者が市場に参入してくる前に、積極的に行動を起こす必要があるのです。」

デジタル化によってもたらされる脅威と機会は、企業がビジネスモデル・イノベーションに取り組む重要な理由の一つです。この両者、すなわちビジネスモデル・イノベーションとデジタル化は密接に関連しています。ブルガー氏は次のように言っています。「この両者はいわばデジタルトランスフォーメーションという1枚のコインの裏表といえます。デジタルトランスフォーメーションの裏にあるテクノロジーがデジタル化です。その一方で、デジタルトランスフォーメーションでビジネスにどう対処するかという面が、ビジネスモデル・イノベーションなのです。」

このように言うと、あまりに大変そうで気が遠くなるかもしれません。 しかし実際には、これは全く実行可能な話です。ちょっと出来すぎた話なのですが、あるパーソナルケア製品のOEMメーカーの成功事例をご紹介します。これまで何十年もの間、同社は堅固なB2Bのビジネスモデルで滞りなく事業運営してきました。 同社では、実店舗および外部事業者のオンラインショップで製品を販売していました。そのため、他の業界や市場とは異なり、デジタルによる脅威に対する一定の保護層が形成されていました。

デジタルトランスフォーメーションの成功
それでも同社は満足していませんでした。そこで、BMI Labの協力のもと、画期的なビジネスモデルを開発したのです。同社の経営陣は、さらなる収益の原動力としてデジタルの力を活用したいと考えていました。そしてそのためには、新たなビジネスモデルが必要でした。

ブルッガー氏は次のように語っています。「デジタル化によって顧客の行動が変容しています。供給者、生産者、消費者が交流する機会が増し、これまでよりも積極的な消費者が増えています。生産者や供給者の意思決定に影響を与えたいと考える消費者が増えてきているのです。」

同社は、どうすれば最終顧客との距離を縮められるのかを分析しました。分析の結果得た答えは、企業文化を根本的に変えて、単なる製品メーカーではなく、ソリューション・プロバイダーになることでした。外部の企業が顧客に販売するためのPB品の洗濯用洗剤を生産するだけでなく、今後は洗濯サービスを最終顧客に直接提供することにしたのです。スマホのアプリを使って、顧客は集荷予約と洗濯方法の指示を行えます。衣類は迅速かつ確実な方法で、集荷、洗濯、配達されます。

同じ犬に新しい芸を仕込む
同社は、長年にわたるB2B事業からB2C事業に転換して大成功を収めました。同社の洗濯ランドリーサービスは、採算面でも成り立っている数少ないサービスの一つです。採算面では、確立した事業基盤を持つ企業はスタートアップに比べて圧倒的に優位な立場にあります。スタートアップは時間との競争に追われて資金を使い果たし、買収されてしまうことも多いのですが、その一方で確立した事業を持つ企業は、新たなビジネスモデルを実際に機能させて利益を生み出すために、相当の社内リソース、経験、業界ノウハウをつぎ込むことができる。同社のプロジェクトにおいて、BMI Labはビジネスモデル・イノベーションの設計と実装についてのコンサルティングを行いました。ビジネスモデル・イノベーションを成功させるための次の、そして最後のステップは事業の拡張です。同社の洗濯ランドリーサービスが拡大した段階で、デジタルトランスフォーメーションが完了となります。


いかがでしたでしょうか。弊社では、ビジネスモデル・ナビゲーターを日本企業にも普及させるべく、ワークショップやプロジェクト支援など様々な支援サービスを提供しております。ご興味の方は是非お問い合わせください。
次回は、「55種類のビジネスモデル・パターンカード:ソリューションプロバイダー(”BMI’s 55 Pattern Cards: Solution Provider”)」という、ソリューションプロバイダーのビジネスモデルに関するブログ記事をご紹介予定です。

WRITER

株式会社マキシマイズ代表取締役
渡邊 哲(わたなべ さとる)
株式会社マキシマイズ シニアパートナー
Japan Society of Norithern California日本事務所代表
早稲田大学 非常勤講師

東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業や団体との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。ビジネスモデル・ナビゲーター手法の啓蒙活動をはじめ、日本のイノベーションを促進するための各種事業を展開中。
「アントレプレナーの教科書」「ビジネスモデル・ナビゲーター」「イノベーションの攻略書」「DXナビゲーター」「イノベーション・アカウンティング」を共訳/監訳。

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