今回は「オープンイノベーションの測定:M&Aの測定("Measuring Open Innovation: measuring M&A")」という、スタートアップとのパイロットプロジェクトに関する取り組みを如何に測定するかについてのお話の第2回です。では本文をお楽しみください。
2021年12月3日 ダン・トマ氏
オープンイノベーションの測定:M&Aの測定
ダン・トマ氏が"The Innovation Accounting bookウェブサイト"に掲載したブログ記事を、本人の許可を得て翻訳、掲載しています)
前回のブログ記事では、大企業がスタートアップとのオープンイノベーションに取り組む際の4種の形態を示し、その中の1形態である無償あるいは有償のパイロットプロジェクトを測定する方法を解説しました。今回はスタートアップとのオープンイノベーションの2つ目の形態として、買収(M&A)プロジェクトの測定方法をご紹介します。
それでは、買収(M&A)について、需要段階、実施段階、成果段階の各段階で追跡可能な指標を見てみましょう。
需要段階の買収プロジェクトの測定:
買収の需要段階では、企業が以下の活動実績指標を追跡することをおすすめします。
- ・一定の期間中に候補先に提案した買収の提案数
- ・一定の期間中の1件の買収先候補の獲得までの平均調査費用(デューデリジェンス費用等を含む)
実施段階の買収プロジェクトの測定:
買収の実施段階では、企業が以下の活動実績指標を追跡することをおすすめします。
- ・一定の期間中に開始に至った買収の数
- ・一定の期間中の全提案のうち開始に至った買収案件の比率
- ・一定の期間中の投資金額の合計
- ・事前合意した買収のロードマップを基準とした進捗状況
- ・事前合意した目標に対する進捗状況
需要段階の買収プロジェクトの測定:
買収の成果段階では、企業が以下の結果指標を追跡することをおすすめします。
- ・一定の期間におけるベンチャー1社を買収するまでの平均費用(需要段階、実施段階の費用を含む)
- ・一定の期間に買収の結果として生み出された新たな売上
- ・一定の期間における新規売上/コスト比率(買収のトータル費用には担当者の人件費など社内費用を含む)
- ・一定の期間における資産価値上昇
- ・一定の期間における資産価値上昇/コスト比率(買収のトータル費用には担当者の人件費など社内費用を含む)
- ・個別の協業ごとの成果指標:個々の買収案件で異なる可能性が高く、買収実施時に相互に合意することが必要(例:時価総額など)
次回以降もスタートアップ協業によるのこり2種のイノベーションプロジェクトについての指標をご紹介します。
いかがでしたでしょうか。弊社では、ダン・トマ氏が欧州企業向けに導入支援を進めているイノベーション・システムを日本企業にも普及させるべく活動しております。ご興味の方は是非お問い合わせください。
次回もスタートアップとの協業プロジェクトの取り組みを如何に測定するかについてのお話です。3回目の次回は「オープンイノベーションの測定:スタートアップ投資の測定("Measuring Open Innovation: measuring corporate venture capital")」という、スタートアップ投資に関する取り組みを如何に測定するかについてのお話です。