デジタル・トランスフォーメーションとビジネスモデル・イノベーションの相互関係とは?
("How does digital transformation and business model innovation interlink?")

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みなさんこんにちは。マキシマイズの渡邊です。今回も、既存事業を持つ大企業がシリコンバレーのスタートアップに負けない画期的な新規事業を創造するために、インダストリー4.0の一環としてスイスで開発された手法である『ビジネスモデル・ナビゲーター』開発元BMI Lab社のブログを皆さんにご紹介します(※BMIとはBusiness Model Innovation:ビジネスモデル・イノベーションの略です)。

今回のブログは「デジタル・トランスフォーメーションとビジネスモデル・イノベーションの相互関係とは?(”How does digital transformation and business model innovation interlink?”)」という、デジタルトランスフォーメーションにおいてデンタル技術の発達をどのように画期的なビジネスモデルに結び付けるか、あるいは逆にビジネスモデルの転換を画期的なデジタル技術でどのように実現するか、というDXにおけるイノベーション実現についてのお話しです。では本文をお楽しみください。

デジタル・トランスフォーメーションとビジネスモデル・イノベーションの相互関係とは?(”How does digital transformation and business model innovation interlink?”)

2017年7月28日
デジタル・トランスフォーメーションとビジネスモデル・イノベーションの相互関係とは?(BMI Lab社ウェブサイトのブログ記事を、同社の許可を得て翻訳、掲載しています)

デジタルト・ランスフォーメーションとビジネスモデル・イノベーションは、多くの点で密接に関連している。

デジタル・トランスフォーメーションは、新たなビジネスモデルを実現可能にするイネーブラーである。デジタル・トランスフォーメーションにより、製品開発、顧客開拓、価値創造と価値提供、利益獲得の新たな方法が生み出される。 これらすべてが複合的に機能することで、いかなる企業であってもデジタル変革が可能となる。

とはいうものの、このような主張は抽象的な話だ。デジタル・トランスフォーメーションが何であるかを完全に理解するためには、想像力をかきたてるような事例がいくつか必要である。ということで、実際の企業のビジネスモデルの例をいくつか分析してみよう。

非常に良い例が、ネットフリックス社の例だ。インターネットがエンターテインメント業界にもたらした大きな変革の波は、ブロックバスターのような強力な企業を終焉させ、他の多くの企業の生存を脅かした。その荒波を生き抜いたのがネットフリックス社である。同社は高効率の物流と配達で、まず最初にDVDの配達サービス分野を制覇した。同社の事業は順調だったが、過去の成功が将来の成功を保証するわけではないことに同社は気づいていた。そして新たなビジネスモデルを試行することを決めたのだ。同社のレコメンデーション・アルゴリズムを通じて収集したデータをもとに、同社はアマゾンのクラウドサービスであるアマゾン・ウェブ・サービスによるビデオストリーミングサービスを構築し、顧客が自分に合った体験を選択できるようにした。ネットフリックス社は、同社が生み出した高付加価値の新商品で、デジタルネイティブ世代層における主要メディアの地位をテレビから奪い取り、拡張性と収益性の高いビジネスを構築し、自社の変革に成功した。同社の例は、デジタル技術の開発をもとに画期的なビジネスモデルが生み出された非常に良い例と言える。

レストラン事業におけるビジネスモデルのデジタル・トランスフォーメーションの良い例がスターバックス社である。実際に、同社は他社に先んじて顧客向けのデジタル・ソリューションを導入し、優れた製品によって収益性を高めている。まず同社が開発したのが、店舗でコーヒーや食事の支払いに利用できるアプリだ。同社は支払い用アプリをポイントプログラムと組み合わせると、アプリを通じて顧客と24時間常に接点を持てる強みを活かして顧客向けにパーソナライズされた特別オファーや各種サービスを開発し始めた。さらに同社は、顧客が店頭で楽しめる新たなデジタルサービスも開発し、非常に高い評判を誇るオムニチャネル型アプローチを進めた。そして、これは単に始まりに過ぎない。スターバックスは新たなデジタルオファーやサービスの開発を継続しており、顧客協創プログラムを通じて、ユーザーを新サービスのデザインプロセスに巻き込むことまでも実施しているのだ。

スポーツ・ウェアのアパレル企業であるアンダーアーマー社も、顧客重視のアプローチで新たなサービスを生み出している良いビジネスモデルの例である。アスリートの能力向上を実現し生活スタイルを変える、という同社のミッションを果たすため、同社はMapMyFitness社を皮切りに、EndoMondo社やMyFitnessPal社といったスポーツ分野のデジタルサービス企業を次々に買収すると、新サービスである「UA Record」を提供開始した。これら一連の買収により、同社は自社顧客向けにトレーニングの測定と改善に役立つ全く新たなデジタルサービスを生み出したのだ。2億人を超える登録ユーザー数を誇る同サービスは、自社ブランドにユーザーを取り込み、アンダーアーマーの店舗に誘導し、貴重なデータを提供することで、同社が顧客ニーズを理解し、顧客満足を高める新たなデジタルサービスを開発することに寄与し、大きな成功をおさめ続けている。

ダイムラーは、急速に変化する巨大ビジネスである自動車業界におけるデジタル・トランスフォーメーションのビジネス例だ。同社はすでにカーシェアリングサービスである「Car2go」でスマートシティの交通サービス分野を先導しており、この分野におけるさらなる開発を計画している。そして多くの企業がデジタル・トランスフォーメーションの道を追随している。米フォード社のCEOは、100年の歴史を持つ同社を単なる自動車メーカーではなくテクノロジー企業にしたいと外部に公表している。そして実際に、同社はソフトウェア企業と提携し、新たなスマート・モビリティ・ソリューションやサービスを開発している。

これら4つのビジネスモデルの例から何か学べることがあるだろうか?我々が思うには、これら4つの例から重要な洞察が得られる。それは、デジタル・トランスフォーメーションは単に製品や技術だけの話ではないということだ。全世界がインターネット接続された現代社会においては、ほとんどの物理的な製品すなわちモノがすでにコモディティ化し、しかも人々は競合他社をインターネットですぐに検索できる。このような世界においては、物理的な新製品の投入でなく、顧客ごとにカスタマイズされたサービスを要望する新世代のデジタル顧客に自社のビジネスモデルを適合させることでこそ、市場優位性がもたらされるはずだ。

このような物理的製品からデジタルサービスへの移行は非常に困難であり、その実現には新たなスキル、新たなバリューチェーン、そして顧客中心の思考様式が要求される。特に製品や流通を重視してきた業界にとっては、これは簡単には乗り越えられない挑戦である。だからと言って、デジタル・トランスフォーメーションの波から逃れることはできない。企業各社は、デジタル・トランスフォーメーションを導入したときに自社全体のビジネスモデルがどうなるのかを、真剣に考えるべきである。

【参考文献】
https://hbr.org/2017/05/what-the-best-transformational-leaders-do
https://hbr.org/2017/05/how-the-meaning-of-digital-transformation-has-evolved


いかがでしたでしょうか。弊社では、ビジネスモデル・ナビゲーターを日本企業にも普及させるべく、ワークショップやプロジェクト支援など様々な支援サービスを提供しております。ご興味の方は是非お問い合わせください。
次回は、「イノベーションに対する2つの戦略的アプローチ:連続的vs非連続的(”Two strategic approaches to innovation: incremental vs radical”)」という既存事業の延長線上として事業を強化する連続的イノベーションと既存事業とは異なる、あるいは既存事業を破壊する非連続的イノベーションという、イノベーションに対する2つの代表的な取り組み方法に関するブログ記事をご紹介予定です。

WRITER

株式会社マキシマイズ代表取締役
渡邊 哲(わたなべ さとる)
株式会社マキシマイズ シニアパートナー
Japan Society of Norithern California日本事務所代表
早稲田大学 非常勤講師

東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業や団体との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。ビジネスモデル・ナビゲーター手法の啓蒙活動をはじめ、日本のイノベーションを促進するための各種事業を展開中。
「アントレプレナーの教科書」「ビジネスモデル・ナビゲーター」「イノベーションの攻略書」「DXナビゲーター」「イノベーション・アカウンティング」を共訳/監訳。

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