サーキュラーエコノミー新事業創造プログラム事例
「日立アカデミー様 GX(グリーン・トランスフォーメーション)人材育成プログラムを日立グループのグローバル各社向けに提供」

イノベーション, ビジネスモデル・新規事業創出

こんにちは、(株)マキシマイズの渡邊です。今回は日立グループのサーキュラーエコノミーへの意識向上と教育のシステマチックな提供を目的として、サーキュラー・ナビゲーターを活用した新事業創造研修プログラムを日本および欧州の日立グループ各社様向けに実施頂いた、株式会社日立アカデミー様の事例をご紹介いたします。

サーキュラーエコノミー新事業創造プログラム事例
「日立アカデミー様 GX(グリーン・トランスフォーメーション)人材育成プログラムを日立グループのグローバル各社向けに提供」

山田廉一
株式会社日立アカデミー事業戦略本部戦略企画部
担当部長
山田 廉一 様
半澤悟
株式会社日立アカデミー研修開発本部L&Dソリューション部
主管L&Dプランナ
半澤 悟 様
結城衛
株式会社日立アカデミー研修開発本部L&D第1部
主任インストラクタ
結城 衛 様
サーキュラーエコノミーを対象とした新事業創造研修を実施いただいた背景と目的、サーキュラー・ナビゲーターを採用いただいたポイントを教えていただけますか。
日立グループでは、「サステナブルな社会を実現して人々の幸せを支える」ことを2024中期経営計画の目標とする中で、「サステナブルな社会の実現のために、エネルギー転換、電動化、省エネ等によりGX(グリーン・トランスフォーメーション)をリード」するグリーン戦略を掲げております。日立グループ各社の人財育成を担う日立アカデミーとしては、サーキュラーエコノミーとそのビジネス適用がグリーン・トランスフォーメーションの根幹部分であると認識し、サーキュラーエコノミーの事業機会を見出し、獲得するための教育を日立グループ各社に提供したいと考えておりました。
BMI Labとマキシマイズの提供するサーキュラー・ナビゲーター手法では、サーキュラーエコノミー特有のビジネスモデル・パターンをヒントにしたアイデアの創造や、ビジネスモデルの4軸に基づく事業性の検討、サーキュラーエコノミーのライフサイクル全体の可視化によるエコシステム設計といった各種のツールが用意されています。また、現状分析からアイデア創造、エコシステム設計、具体化までの一連のプロセスが明確です。一般的な新事業創造手法には無い、サーキュラーエコノミーの特徴に応じたツールおよび検討プロセスに優位性があると考えて、採用にいたりました。
製品リユース

グリーン・トランスフォーメーション

カスタマージャーニー

今回はオンラインにて、日本国内のグループ各社だけでなく欧州を中心としたグローバル各社も含む全世界の日立グループが参加する形で研修を進めていただきましたが、その狙いについて教えていただけますか。
日立グループは、世界各国・地域で社会イノベーション事業を展開しており、海外従業員比率が半数を超えています。従業員がお互いの価値観を尊重しながら、一丸となって業務を遂行するには、世界共通のフレームワークが重要になると、日立アカデミーは考えています。そこで、全世界の従業員に向けて、サーキュラーエコノミーの新事業創造手法を学ぶための研修を開発することにしました。開発においては様々な課題があったのですが、研修実施方法とカリキュラムの両面で、マキシマイズから素晴らしい解決策を提案いただいて、研修実施に漕ぎ着けました。
研修実施方法については、2つの大きな提案をいただきました。まず、受講者がサーキュラーエコノミーの全体像を把握した上でサーキュラー・ナビゲーターを学ぶために、ウェブセミナーを実施していただきました。次に、世界各国および地域の従業員が参加するために、ウェブ会議システムと仮想ホワイトボードツールを併用したオンライン形式としました。
カリキュラムについては、ビジネスモデルとサーキュラーエコノミーの包含的な理解促進を目的としたウェブセミナーに加えて、新事業創造スキルの習得を目標としてハンズオン形式のワークショップを4回行う、延べ5日間の研修プログラムとしました。ワークショップでは、国籍および地域の異なる従業員が混在するチームを編成して、多彩なメンバーが、実在する企業を題材とした研修用のケースを基に新事業アイデアを一緒に考える場としました。そして、最終日に新規事業案を発表することにしました。
このような研修プログラムの有用性を評価するために、今回の研修を“グローバル環境で実施するトライアル研修”と位置づけました。そして、日欧の日立グループ各社の企画部門や研究開発部門、営業部門等から参加者を得て、日本時間の夕方に実施しました。また、参加者の学習とグループワークを効果的に進めるため、説明資料やワークショップの各タスクで利用するツール、講義の実施やディスカッションについては、英語と日本語を併用しました。

今回の研修プログラムの成果はいかがでしたか?
参加者には大変好評でした。日立グループ各社の従業員が参加する研修プログラムは、サーキュラーエコノミーの理解と新事業創造手法の体験学習だけでなく、グローバル環境でのグループ会社間の協業スキルの醸成という意味でも非常に有用であった、との感想が多く寄せられました。
初回のウェブセミナーでは、地球環境を守り社会を維持する上での、リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行の重要性などサーキュラーエコノミーに関する基本的な理解の醸成、興味深い事例の紹介、サーキュラー・ナビゲーター手法の紹介を通じた研修プログラムへの興味喚起を行っていただきました。
その後の全4回のワークショップでは、サーキュラー・ナビゲーターのプロセスに沿って、既存の事業と事業環境の分析、新事業アイデアの創造と評価検討、事業モデルとエコシステムの設計、顧客やパートナーに対する提供価値の深掘りを、各種のテンプレートやツールを使って実施いただきました。仮想ホワイトボードツール上に、事業創造のプロセスやプレゼンテーション用のテンプレートを日英の両言語で用意いただいたので、円滑に進めることができました。約1ヶ月に渡る研修プログラムによって、リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行に関する具体的な事例に基づく実践的な知見を得ることができたと考えています。また、地域、言語、専門分野やバックグラウンドの異なるメンバーが混在するチームで、アイデア創造からプレゼンテーションまで行うプロセスを体験することが好評だったことは、日立グループの研修の在り方を示唆する大きな成果だと感じています。
今後も日立グループ各社でGX(グリーン・トランスフォーメーション)を担う人財をより多く輩出していく事をめざして、本研修プログラムを通じたサーキュラーエコノミーの新事業創造スキルの普及を促進していきたいと考えています。

ポイント

目的:
ビジネスモデルとサーキュラーエコノミーの包含的な理解促進と、ハンズオン形式での新事業創造スキルの習得

実施内容:
実在企業を題材にしたケースを基にしたサーキュラーエコノミーの新事業アイデアの創造とサーキュラーエコノミーの設計、成果プレゼンテーション

成果:
日立グループ会社の従業員が、世界各国および地域から参加。各チームがサーキュラーエコノミーの新規事業案を作成。サーキュラーエコシステムを設計し、プレゼンテーションを実施


今回はサーキュラーエコノミーの新事業創造スキルの獲得を目的に、オンラインにてリアルタイムで全世界に向けたプログラムを提供した事例をご紹介させていただきました。
今後もサーキュラー・ナビゲーターの事例やセミナーの情報などご紹介させていただきます。

WRITER

株式会社マキシマイズ代表取締役
渡邊 哲(わたなべ さとる)
株式会社マキシマイズ シニアパートナー
Japan Society of Norithern California日本事務所代表
早稲田大学 非常勤講師

東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業や団体との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。ビジネスモデル・ナビゲーター手法の啓蒙活動をはじめ、日本のイノベーションを促進するための各種事業を展開中。
「アントレプレナーの教科書」「ビジネスモデル・ナビゲーター」「イノベーションの攻略書」「DXナビゲーター」「イノベーション・アカウンティング」を共訳/監訳。

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