複雑さを増す世界における事業課題に対処するための6つの原則("6 Principles to Deal With Business Challenges in a Complex World")

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みなさんこんにちは。マキシマイズの渡邊です。今回も、既存事業を持つ大企業がシリコンバレーのスタートアップに負けない画期的な新規事業を創造するために、インダストリー4.0の一環としてスイスで開発された手法である『ビジネスモデル・ナビゲーター』開発元BMI Lab社のブログを皆さんにご紹介します(※BMIとはBusiness Model Innovation:ビジネスモデル・イノベーションの略です)。

今回のブログは「複雑さを増す世界における事業課題に対処するための6つの原則("6 Principles to Deal With Business Challenges in a Complex World")」という、VUCAと呼ばれる変化の激しい世界における企業の行動指針ついてのお話しです。では本文をお楽しみください。

複雑さを増す世界における事業課題に対処するための6つの原則
("6 Principles to Deal With Business Challenges in a Complex World")

2017年9月6日
複雑さを増す世界における事業課題に対処するための6つの原則(BMI Lab社ウェブサイトのブログ記事を、同社の許可を得て翻訳、掲載しています)

不確実性に対処する方法を身につければ、現在の世界でビジネスを進めるうえで大きな強みとなる。

不確実性と変化の時代である今日、遅かれ早かれあらゆる企業が様々なビジネス上の課題に直面するというのが現実であり、可能性の問題ではない。飛躍的に変化が加速するグレート・アクセラレーションと言われる時代において企業が直面する課題は、これまで以上に複雑で、扱いづらく、互いに絡み合っている。グローバリゼーション、世界的な混乱、デジタル・トランスフォーメーション、政治的混乱などの要因により、全世界の市場環境が変化しており、対処すべき問題はさらに複雑化している。

したがって、私たちは複雑さに対処する方法を身につけなければならない。原因と問題の間に直接的な関係がある「通常のビジネス」環境における課題であれば、私たちは対処に慣れている。しかし、複雑な問題については、通常のアプローチはもはや機能しない。場合によっては、新たな複雑性が追加され、本質の理解がさらに困難になることもある。

したがって、複雑さに対処し、障害を克服し、実行可能な解決策を見つける方法についての知識が、マネージャーが成功を収めるため必須スキルであると言える。良いニュースは、このような能力は学習と訓練で習得可能であることだ。これはビジネスプロセス管理というよりデザイン思考に関する話である。それというのも複雑な問題の解決にはデザイン思考の方がはるかに適しているからだ。ここではデザイン思考の詳細には触れないが、デザイン思考で複雑な問題への対処法を学ぶうえでのアドバイスをいくつか提示したい。

1. 解決すべき適切な問題を見つける
マネージャーが誤った方向に進んでしまう原因のほとんどは、何が真の問題なのかを考えるために十分な時間を割かなかったためである。問題に直面したときには、まずできるだけ時間をかけて調査し、さまざまな角度から課題に向き合い、いくつかの形で課題を定義しなおすことで、その原因を完全に理解する必要がある。適切に課題を定義すれば、課題解決のための適切な疑問点が判明するのだ。

2. 顧客に焦点を当てる
ビジネス上の課題のほとんどは、競合他社からでなく顧客から生じている。事業に苦戦した際に、私たちは根本原因を探ろうとして競合企業に目を向けすぎることが多い。しかしおそらく、よくよく見れば、実際の原因は私たち自身の顧客サービスにおける誤りに起因していることに気づくかもしれない。これは1つ目のポイントとも強く関連しているが、おそらく最初に問うべき質問は、私たちが顧客にきちんと価値を提供できていないのではないか、という点なのだ。

3. 状況を踏まえたアプローチをとる
顧客に焦点を当てるということは、状況を踏まえたアプローチをとることを意味する。自社のビジネスプロセスだけでなく、顧客体験全体を調査し、その結果を相互に紐づけるように努めるべきだ。問題が一部門のみに起因していることはまれで、たいていは原因が複雑に絡み合い、複数の部門のちょっとした問題が相互に増幅して大きな問題を引き起こす。問題が起きてしまったら、社内のすべての人々が協力して様々な部門を調査すれば、原因となっている複数の問題を見つけ出すことができるかもしれない。そのためには、部署ごとの縦割り思考を打破する方法を学ぶことが必須であり、関係者全員がその方法を実践するよう努めるべきである。

4. オープンイノベーションに挑戦する
私たちは世の中すべての人々の創造性とアイデアを活用すべきだ。どこから良い解決策が生まれるかは全くわからないからだ。これには未来志向で考え、未来において自社の事業領域に何が含まれるかを想像することも含まれる。このようなスキルは企業にとって非常に有益であり、各チームのマネージャーすべてが自分のチームにこのスキルを取り込んでもよいかもしれない。

5. 複数の解決策を探す
考えられる複数の解決策を洗い出し、次の単純なルールで優先順位付けすることが重要である。すなわち、もっとも単純で実行可能な解決策が、複雑な解決策よりもはるかに優れている。一旦優先順位付けをしたら、適切な解決策を見つけ出すまで様々な解決策を試してみることだ。

6. 適切なチームを選択する
6番目に、解決策を提供して結果を測定するチームを選定して、解決策を実行する。おそらく、問題の解決策も問題同様に複雑であることが判明し、時にはプラスとマイナスの両面で、意図しない予想外の結果が生じて驚くだろう。どんな場合でも、経験から学び、悪影響が生じた場合には別の解決策を再度試すことが、正しい取り組み方法である。

【問題の解決には何が必要なのか?】
したがって、問題解決には、創造性と分析思考の組み合わせ、前向きな考え方、失敗への寛容性など、的確なスキルが必要となる。これらすべてのスキルをまとめて一度に習得できる人はいない。そのため、ビジネス上の課題には、あらゆる問題に対する適切な解決策を見つけるために、さまざまな経歴のメンバーを集めたモチベーションの高いチームを組成し、協力して対処する必要がある。このようなチームを効果的に率いるためには、マネージャーは状況が自分の理解を超えていることを考慮に入れ、自分が持っていない専門知識を持った人々を率いることを苦にせず、予期せぬ市場状況に臨機応変に対応して、不確実な事業機会に取り組むことができる必要がある。

結局のところ、ショックに対処するスキルとして、可能な限り簡単かつ迅速に状況に適応して変革する能力を備えた、折れない組織を構築することが重要なのかもしれない。 おそらくこれが、どの企業にとってもイノベーションが非常に重要である理由の1つである。どのような企業であれ、イノベーティブな環境を社内に広げることで、複雑さや潜在的なショックに対処するための有用なスキルがもたらされるからだ。

【参考文献】
https://www.forbes.com/sites/glennllopis/2013/11/04/the-4-most-effective-ways-leaders-solve-problems/#39483bb74f97
https://www.forbes.com/sites/jeffboss/2015/04/01/study-reveals-4-leadership-trends-in-dealing-with-complexity/#7c8b7a086552
http://www.businessinsider.com/how-to-manage-complexity-2013-6
https://hbr.org/2011/09/learning-to-live-with-complexity
http://www.digitaltonto.com/2012/the-mathematics-of-anything-can-happen/


いかがでしたでしょうか。弊社では、ビジネスモデル・ナビゲーターを日本企業にも普及させるべく、ワークショップやプロジェクト支援など様々な支援サービスを提供しております。ご興味の方は是非お問い合わせください。
次回は、『3Dプリンティング技術がビジネスモデルに及ぼす影響とは?("What is the influence of 3D printing on Business Models?")』という、3Dプリンティング技術を核にして収益を生み出すビジネスを創造するために、革新的なビジネスモデルが重要な役割を果たすことに関するブログ記事をご紹介予定です。

WRITER

株式会社マキシマイズ代表取締役
渡邊 哲(わたなべ さとる)
株式会社マキシマイズ シニアパートナー
Japan Society of Norithern California日本事務所代表
早稲田大学 非常勤講師

東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業や団体との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。ビジネスモデル・ナビゲーター手法の啓蒙活動をはじめ、日本のイノベーションを促進するための各種事業を展開中。
「アントレプレナーの教科書」「ビジネスモデル・ナビゲーター」「イノベーションの攻略書」「DXナビゲーター」「イノベーション・アカウンティング」を共訳/監訳。

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