経営破綻からEモビリティ事業への再起を果たしたシャイト社("How Schaidt Turned Insolvency Into an E-mobility Comeback")

イノベーション

みなさんこんにちは。マキシマイズの渡邊です。今回も、既存事業を持つ大企業がシリコンバレーのスタートアップに負けない画期的な新規事業を創造するために、インダストリー4.0の一環としてスイスで開発された手法である『ビジネスモデル・ナビゲーター』開発元Seconds"社(旧BMI Lab社)のブログを皆さんにご紹介します(※BMIとはBusiness Model Innovation:ビジネスモデル・イノベーションの略です)。

今回のブログは「経営破綻からEモビリティ事業への再起を果たしたシャイト社("How Schaidt Turned Insolvency Into an E-mobility Comeback")」という、ビジネスモデル・イノベーションを活用して事業再生と雇用維持を実現した取り組みについてのお話です。では本文をお楽しみください。

経営破綻からEモビリティ事業への再起を果たしたシャイト社("How Schaidt Turned Insolvency Into an E-mobility Comeback")

2025年9月3日
経営破綻からEモビリティ事業への再起を果たしたシャイト社
Seconds"社ウェブサイト"のブログ記事を、同社の許可を得て翻訳、掲載しています)

ドイツの自動車部品サプライヤーであるシャイト・イノベーションズ社は、最後まで残っていた車載オーディオ・エレクトロニクス関連の契約を失ったことで、経営破綻に陥った。しかし、工場を閉鎖するのではなく、当社は短期間でビジネスモデル・イノベーションのプロジェクトを実施し-、電気自動車(EV)向け充電ステーションを製造するという新たな事業計画を策定した。この事業戦略がベバスト社(Webasto)による工場の買収につながり、170人の雇用を維持することができた。

シャイト・イノベーションズ社は、ドイツの自動車業界の電子部品サプライヤーである。同社は、高度に専門化された生産技術、プリント基板の組立、ハイテク部品向けのカスタム物流などを強みとし、この分野における技術革新をリードしてきた。同社はかつて、コネクテッドカー技術やパーソナルオーディオ分野における世界的なリーディングカンパニーであるハーマン・インターナショナルの傘下にあった。その後、2017年1月1日付で、世界有数の自動車部品サプライヤーであるベバスト社に買収された。この事業売却と再編により、約170人の従業員の雇用が維持されることとなった。

課題

シャイト・イノベーションズ社も、多くの製造業企業と同様に、グローバル競争の激化による圧力にさらされていた。技術へのアクセスが容易になり、模倣もされやすくなる一方、新興国では人件費がドイツなどの先進国と比べて大幅に低い。ドイツでは労働組合の影響力が強いうえ、生活水準や生活コストが高く、長年にわたって形成されてきた法制度や社会規範を背景として、比較的高い賃金や福利厚生、手厚い労働者保護が求められている。こうした環境のもと、シャイト社のチームは、当社(BMI Lab)、BGW Management Advisory Group社、Rasenberger Toschek社の3者と連携し、経営破綻と企業買収が同時に進行するという特殊な状況下で、ビジネスモデル・イノベーションのプロセスを推進するという、極めて難しい課題に取り組んだ。

当社チームのアプローチ

当社(BMI Lab)のイノベーション手法に基づき、「リストラクチャリングを通じた事業変革(Transformation as Restructuring)」と呼ばれるビジネスモデル・イノベーションのプロセスを実施した。その目的は、新たな事業アイデアを創出し、シャイト・イノベーションズ社を安定した収益性の高い企業として引き継ぎ、事業を継続する投資家を呼び込むことであった。

成果

当社(BMI Lab)のビジネスモデル・ナビゲーターによる体系的なアプローチを活用することで、シャイト社のチームは、自社の事業が持つ中核的な強みと市場における競争優位性を分析することができた。その分析をもとに、将来の成長に向けた明確な事業計画を策定し、新たな投資の獲得に成功した。その結果、シャイト社は経営破綻の状態から脱却するとともに、将来に向けた十分な資金と事業基盤を確保することができた。

主な学び

総じて、デジタルサービスと既存のモノづくりを融合する取り組みは、新たな親会社であるベバスト社の傘下において、シャイト・イノベーションズ社の将来に大きな可能性をもたらすものである。今回の先駆的な取り組みは、同社の事業継続性を確保するとともに、可能な限り多くの従業員の雇用を維持するうえで重要な役割を果たした。「リストラクチャリングを通じた事業変革(Transformation as Restructuring)」のプロセスを実施したことで、経営破綻から脱却した同社は、自社の中核的な強みを新たな形で活用し、将来に向けた事業変革を直ちに推進できる基盤を整えることができた。


いかがでしたでしょうか。弊社では、ビジネスモデル・ナビゲーターを日本企業にも普及させるべく、ワークショップやプロジェクト支援など様々な支援サービスを提供しております。ご興味の方は是非お問い合わせください

WRITER

株式会社マキシマイズ代表取締役
渡邊 哲(わたなべ さとる)
株式会社マキシマイズ シニアパートナー
Japan Society of Norithern California日本事務所代表
早稲田大学 非常勤講師

東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業や団体との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。ビジネスモデル・ナビゲーター手法の啓蒙活動をはじめ、日本のイノベーションを促進するための各種事業を展開中。
「アントレプレナーの教科書」「ビジネスモデル・ナビゲーター」「イノベーションの攻略書」「DXナビゲーター」「イノベーション・アカウンティング」を共訳/監訳。

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