循環型ビジネスモデルでリサイクル率を3倍にした耐火物メーカー("How a Refractory Leader Tripled its Recycling Rate")
みなさんこんにちは。マキシマイズの渡邊です。今回も、既存事業を持つ大企業がシリコンバレーのスタートアップに負けない画期的な新規事業を創造するために、インダストリー4.0の一環としてスイスで開発された手法である『ビジネスモデル・ナビゲーター』開発元Seconds"社(旧BMI Lab社)のブログを皆さんにご紹介します(※BMIとはBusiness Model Innovation:ビジネスモデル・イノベーションの略です)。
今回のブログは「循環型ビジネスモデルでリサイクル率を3倍にした耐火物メーカー("How a Refractory Leader Tripled its Recycling Rate")」というサーキュラーエコノミーの実践による事業変革についてのお話です。では本文をお楽しみください。
循環型ビジネスモデルでリサイクル率を3倍にした耐火物メーカー("How a Refractory Leader Tripled its Recycling Rate")
2025年9月3日
循環型ビジネスモデルでリサイクル率を3倍にした耐火物メーカー
(Seconds"社ウェブサイト"のブログ記事を、同社の許可を得て翻訳、掲載しています)
耐火物製品の世界的サプライヤーは、バッテリーのリサイクル事業を拡大し、サーキュラーエコノミーを収益性のある事業として成立させることを目指していた。そこで我々は、サーキュラーエコノミー・ナビゲーターを活用し、1年間にわたって最適なビジネスモデルの選定、顧客との検証、そして実行に向けたロードマップの策定を支援した。その結果、合弁会社の設立につながり、同社のリサイクル率は3倍に向上するとともに、廃棄物処理コストの大幅な削減を実現した。

課題
レンガ等の耐火物素材による製品、システム、サービスを提供する世界有数のサプライヤーであり、世界各地に数十の生産拠点を展開し、1万5,000人を超える従業員を擁する同社は、事業の持続可能性向上に向けた戦略的な機会を見出していた。すでにリサイクル用のパイロットプラントを立ち上げていたものの、その取り組みを本格的に拡大するにあたり、事業としての採算性や市場性をどのように評価するか、またどのようなビジネスモデルを採用すべきかについて課題を抱えていた。
当社チームのアプローチ
同社の戦略チームおよび営業チームと緊密に連携しながら、サーキュラーエコノミー・ナビゲーターの手法を活用して、有望なビジネスモデルの探索と検証を体系的に進めた。具体的には、以下のようなアプローチを採用した。
・市場分析:
市場動向、顧客セグメント、価格戦略を分析し、事業として最も有望なビジネスモデルを特定した。
・ワークショップ:
営業担当者および主要パートナーとのアイデア創出ワークショップを実施し、有望なビジネスモデルの選定を行った。
・ビジネスモデルの詳細化:
主要なサービス構成要素と個別の提供価値を基に、包括的なビジネスモデルコンセプトを策定した。このコンセプトでは、新たに関与する多様なステークホルダーに対して追加サービスを提供することで、事業全体の価値創出を拡大することを目指した。
・検証:
顧客インタビューを実施するとともに、重点市場における主要サービスの展開計画を策定した。
成果
この共同プロジェクトの成果として、循環型ビジネスモデルの導入に向けた明確なロードマップを策定するとともに、事業としての採算性と実行に向けた戦略的なステップを明確化した。同社は合弁会社を設立し、複数の国へリサイクル事業を展開するとともに、さらなる地域への拡大も計画している。特筆すべき成果として、この取り組みにより同社のグローバルなリサイクル率は3倍に向上し、大幅なコスト削減を実現した。さらに、合弁会社は新たな応用分野を開拓することで、リサイクル率を98%まで高めることに成功した。
主な学びと今後のステップ
・統合的アプローチ:
販売業務とリサイクル業務を統合的なサービスモデルの下で一体的に提供することで、顧客価値と業務効率の向上を実現した。
・市場への適応:
市場ごとに異なる顧客ニーズに合わせて戦略を最適化することで、より魅力的な提供価値を実現した。
・サービス提供におけるイノベーション:
既存の「サービス型(As-a-Service)」モデルに循環型経済の要素と付加価値を組み込むことで、メンテナンスやリサイクルを含む包括的なソリューションを提供できるようになった。その結果、顧客との関係強化と新たな収益源の創出を実現した。
・社内連携が鍵:
長年にわたって形成された組織文化や業務慣行を踏まえ、社内コミュニケーションを重視しながら全社横断で意識改革を進めることが、成功のための最も重要な要素の一つであった。
・実践を通して理解を深める:
自社でリサイクル事業を運営することで、同社はこのビジネスモデルの要点に関する実践的な知見を蓄積することができた。そして、その経験が、小規模なリサイクル事業者との合弁会社を立ち上げるうえで最も重要な成功要因となった。
いかがでしたでしょうか。弊社では、ビジネスモデル・ナビゲーターを日本企業にも普及させるべく、ワークショップやプロジェクト支援など様々な支援サービスを提供しております。ご興味の方は是非お問い合わせください。
WRITER

- 渡邊 哲(わたなべ さとる)
-
株式会社マキシマイズ シニアパートナー
Japan Society of Norithern California日本事務所代表
早稲田大学 非常勤講師
東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業や団体との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。ビジネスモデル・ナビゲーター手法の啓蒙活動をはじめ、日本のイノベーションを促進するための各種事業を展開中。
「アントレプレナーの教科書」「ビジネスモデル・ナビゲーター」「イノベーションの攻略書」「DXナビゲーター」「イノベーション・アカウンティング」を共訳/監訳。



