海外先進100社のDX成功アプローチ紹介セミナー2

イノベーション, ビジネスモデル・イノベーション, 事業創出

こんにちは、マキシマイズの田中です。
今回も前回に引き続き、11月18日、21日に「DXナビゲーター(2021年、翔泳社)」の著者を招いて実施されたセミナーの模様をご紹介させていただきます。

海外先進100社のDX成功アプローチ紹介セミナー2
Q&A特集 ボッシュなど事例ご紹介

セミナーのQ&Aセッションでは著者に対して多数のご質問がよせられましたので、前回ご紹介しきなかった内容を一部ご紹介いたします。
著者が実際に参加していたボッシュなど欧州での貴重な事例を交えて回答いただきました。

Q&Aセッション

DXプロジェクトチームの新しい取組を鼓舞できるタイプのリーダーは、元々そういった資質を持っているのか?それとも行動によってそういう資質を獲得することができるのか
もともと資質を持っている人も当然いる。しかしトレーニングや実際のプロジェクトを通じてそのようなスキルを獲得することが可能だということがインタビューを通じてわかっている。スキル獲得のトレーニングによって、例えばメンバーへの共感や、メンバーに新たなインスピレーションを与える行動、モチベーションを高める行動を学ぶことができる。
一方、チームメンバーの立場であれば、社内人材の教育以外にも外部から適切な人材を獲得してくるという事も考えられる。ある銀行で行われたデジタル銀行の立上げプロジェクトの事例では、既存の組織内にデジタル化に詳しい人材や顧客視点に強い人材が見当たらなかったため、外部から接客業など銀行業以外の人材を採用する事で成功したという事例がある。そのためどこに自社に必要な人材がいるのかといった視点で考えることも重要と言える。

インタビューを通じてわかったベストプラクティスを教えて欲しい。また、それらの企業の成功要因は何か?
ベストプラクティスは非常に多くあり、ここですべてを紹介する事は難しいが、セミナーや書籍で紹介した、「組織」「技術」「プロセス」「リーダーシップ」「人材」「文化」の6つが主な成功要因となる。もう少し具体的に言えば、リーダーが既存事業のデジタル化であるS1カーブと、新たな事業の創造であるS2カーブの両者をしっかりとマネジメントすること、S1とS2に取り組む組織を分けること、社員がS1とS2のそれぞれの取り組みを理解した上で業務に取り組める環境を整えること、S1とS2に取り組むチームが協力できる文化を醸成すること、さらにS2をサポートするインキュベーターやアクセラレーターといった社内のプロセスを整備する必要がある。
著者が実際に参加していたボッシュの初期DX事例E-Bikeのプロジェクトでは、次の6つを実施した。1)S2組織を既存組織から分離、2)社内から能力の高い人材を結集、3)リーンスタートアップの手法で検証を行いながら実行、4)社内だけでなく外部から必要な人材を採用、5)外部のオープンソースコミュニティとの連携、6)事業拡大のタイミングでは物流など既存部門と連携し能力を活用。またS1とS2の成功要因が異なることをあらかじめ理解して進めたのが成功につながったと考えている。

社内でDXプロジェクトを進めるにあたり、性格やその他の観点など、どの様にメンバーを選択するべきか。
性格という点では新しいことに挑戦できるよう、チームメンバーを鼓舞できるキャラクターが必要だ。ただし、特にリーダーについては、それ以外に社内で他のメンバーや経営陣から信用を得ていることが重要となる。実績だけでなく、組織をうまく機能させるために社内のことをよく理解している人材であることが重要だ。
コダックでは多数のプロジェクトリーダーを外部から採用したが、社内のことをよく理解していないためにうまく機能せず失敗に終わったという例がある。

いかがでしたでしょうか、DXプロジェクトを推進するためのヒントとなりましたらうれしく思います。
いか、簡単にDXナビゲーター書籍の概要と登壇者のプロフィールをご紹介させていただきます。

書籍『DXナビゲーター』とは
真のDXの実現には、デジタル化により既存事業を強化して稼ぎ続けることと、将来を見据えて既存のビジネスモデルを変革し、デジタルを核とした新事業を創造することを両立する必要があります。ところがこれら2つの取組みは、既存事業の強化と破壊という自己矛盾を抱えており、同一組織内で同時に実行することが困難です
DXナビゲーターでは、欧州をはじめとするDX先進企業100社の責任者へのインタビューを通じて、DXに内在する矛盾を各社がどのように乗り越えたかを、戦略、組織、技術、プロセス、リーダーシップ、人材、文化の各側面から具体的な手法として取りまとめています。
書籍で紹介しているテンプレートは弊社HPからダウンロードすることができます。

セミナー開催概要

  • 日程:2021年10月18日  17:00~18:30
  • 実施方法:オンライン
  • 実施テーマ:海外先進100社のDX成功アプローチ紹介
  • 主催:Inspured.Lab
  • 共催:株式会社マキシマイズ
  • 日程:2021年10月21日  16:00~17:30
  • 実施方法:オンライン
  • 実施テーマ:海外先進100社のDX成功アプローチ紹介
  • 主催:都心型オープンイノベーション拠点「Xport」
  • 共催:株式会社マキシマイズ
  • 協力:大阪商工会議所、大阪工業大学

– 登壇者紹介

カロリン・フランケンバーガー
カロリン・フランケンバーガーKarolin
Frankenberger

ザンクトガレン大学(スイス)常勤教授で戦略イノベーションを担当。同大学経営戦略研究所長、エグゼクティブMBA学部長も務める。大学の前は、マッキンゼー・アンド・カンパニーに7年間勤務。
(デジタル)ビジネストランスフォーメーション、ビジネスモデル・イノベーション、エコシステム、循環型経済の研究で受賞歴があり、最近、時代の先端を行く世界的な経営思想を発信するThinkers50で月間賞に選ばれた。
一流の学術雑誌、実務家向け雑誌に著作が頻繁に掲載されており、著書の『The Business Model
Navigator』(邦題『ビジネスモデル・ナビゲーター』[翔泳社])は、ビジネスモデル・イノベーションの基本的参考文献として知られる。自身でビジネス関係の団体を立ち上げ、世界各地で講演を行い、戦略とイノベーションについてさまざまな業種の企業幹部を支援している。サンクトガレン大学で最優秀の成績で博士号を取得。ハーバードビジネススクールとコネチカット大学で博士課程客員研究員をしていた。

マーカス・シュミット
マーカス・シュミットMarkus Schmidt

QSIDデジタルアドバイザリー社の創設者でCEO。
同社は、家族経営の中規模企業の戦略、リーダーシップ、DXを支援するコンサルティング会社。ヴァレオ社、ボッシュ社で長期にわたりグローバリゼーションとDXを主導した経験を持ち、最近までボッシュ社オートモーティブエレクトロニクス部門のヴァイスプレジデントだった。ボッシュ社でのリーダーシップ経験から、製造業企業のDXの可能性と課題に精通する。この経験を活かし、DXに関する、経営幹部レベル向けのコーチングとアドバイザリー、産業関連イベントの講演を行い、複数の大学で講師を務める。ミュリーズグループのファッション3とクレエンNPグループのクロステックインベスト部門の役員でもある。

渡邊 哲
渡邊 哲Satoru Watanabe
株式会社マキシマイズ代表取締役
Japan Society of Norithern California日本事務所代表
早稲田大学 非常勤講師

海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入と大企業向けのイノベーション支援を専門とする。特に海外ベンチャー企業と日本の大手企業との連携による新規事業創出に強みを持つ。三菱商事、シリコンバレーでのベンチャー投資業務等を経て現職。欧州で開発された大企業向けビジネスモデル・イノベーション手法の国内向け導入、イノベーションを切り口としたシリコンバレーと日本のイノベーション・コミュニティ運営など、日本のイノベーションを促進するための活動を展開中。
東京大学工学部卒。米国Yale大学院修了。共訳書に『アントレプレナーの教科書』、『ビジネスモデル・ナビゲーター』、『イノベーションの攻略書』(いずれも翔泳社)。


今回も既存事業の強化と破壊という真のDX実現に生じるジレンマを克服するための手引書「DXナビゲーター」のセミナーの様子をお届けいたしました。
今後もビジネスモデル・ナビゲーターの導入事例やセミナーの情報などご紹介させていただきます。

WRITER

株式会社マキシマイズ コンサルタント
田中 陽介(たなか ようすけ)
株式会社マキシマイズ コンサルタント

株式会社マキシマイズにて、国内大手企業向けに海外の有力ITやイノベーション手法の日本導入を支援。新規事業立ち上げ、事業開発に強みを持つ。広告代理店、中国向け電子コミック配信事業、プロ野球独立リーグ球団運営を経て現職。「イノベーションの攻略書」共訳。立教大学法学部卒業。

関連記事一覧